歯石とは？

歯に付着した生きた細菌の塊であるプラーク（歯垢）が、唾液中に含まれるカルシウムやリン酸などのミネラル分と反応して石灰化したもののことを言います。歯に強固についているため歯磨きで除去できず、歯科医院でスケーラーなどの器具を使って取り除いてもらう必要があります。
一般に口腔内で歯垢が生成されてから48時間で歯石になることが知られています。

歯磨きをしっかりすれば歯石は付かないのですが…

プラーク（歯垢）は食事後8時間程度で生成されるため、歯垢の段階で取り除くことができれば歯石はつきません。
ところが実際問題として、歯周ポケットの中や歯間など歯ブラシが届きにくい場所にはどうしても磨き残しができるため、歯磨きをしていても歯石となってしまう場合が多いのです。

歯石をとることで症状が悪化する？

まれに「歯石を取ったあと、歯がしみるようになったり、歯がぐらつくようになった」という話を耳にすることもあります。ただし、それはいずれも長年歯石を取らなかったがために、大量付着した歯石を除去することで歯根が露出し、一種の知覚過敏の状態になっていたり、歯周病が進行していた歯を歯石で支えていたからにすぎません。
歯石を取ったから悪化したわけでは決してないわけです。

たしかに歯垢が石灰化した歯石は、いわば「死んだ細菌の塊」であり、プラークのように歯周病などの口腔トラブルを引き起こす直接の原因にはなりません。ところがその表面には無数の穴が開いており、細菌にとって格好の棲み処になってしまうという懸念があるんです。
結果としてちょうど歯石が細菌を守る形となるため、歯石は取り除くにこしたことはないわけです。

「歯石そのものに毒性はない」
このことが独り歩きして、「歯石は取らなくてもいいんじゃないか」という考えになったものと思われます。

歯科医院における歯石の取り方

歯科医院では主にハンドスケーラーや超音波スケーラーと呼ばれる器具で歯石を剥がしとっていきます。
歯肉に炎症が起き歯茎が腫れている部分の歯石を取り除く場合に、出血することがありますが、出血は一時的なものです。歯石によって守られていた細菌を含んだ膿も一緒に排出されるので、特に心配はいりません。

歯石予防方法

・定期的な歯石除去

歯石を自分で取ることは困難です。歯石は早いうちの方が取りやすいので、だいたい2～3か月に1回くらいの頻度で歯科医院へ通うことが望ましいです。

・ブラッシングケア

基本は歯石になる前の歯垢の段階で取り除いてしまうことです。
丁寧なブラッシングを心がけ、磨きにくい歯間にはフロスを使うなどして出来るだけ歯垢が残らないようにしましょう。

これまでお話してきたように、細菌を呼び寄せる歯石は歯周病をはじめとする、口腔トラブルの原因にもなります。たくさん歯石が付着してしまうと、すべて取り除くのに通院回数やお金も嵩んでしまうため、できるだけ歯石が付かないように心がけてください。

（サクマユウナ）

執筆者：alluxe編集部